ゾンビを通して、人の生死に関して考えさせられる映画。
ネタバレを含むかと思いますので、大丈夫な方のみ続きを読んでやってください。
ゾンビとは、人の「生」に対する執着から生まれたように思いました。
ランド・オブ・ザ・デッドのゾンビは、ゾンビになって思考能力が低下しても、生きていた頃の大切な、1つの信念ぐらいは覚えているようでした。
本能と欲のままに糧を喰らいながらも、死してなお音楽を奏でようとしたり、恋人と一緒にいたり、皆それぞれ今までと同じ生活をおくろうとします。
死にたくない。
もっと生きたい。
そんな気持ちが伝わってくるようでした。
もちろん、生者からは攻撃を受け、ゾンビ達は倒されてゆくのですが、それは正当防衛と言っていい反面、ある種の理不尽さを感じました。
人が動植物を殺して食べているように、ゾンビは人を殺して喰う。
それを忌み嫌い、武器を持った生者は面白半分に無用な殺戮をしているように見えてきます。
ゾンビを捕らえて見せ物にしたり、娯楽に使ったりする様はもはや元人間としての扱いではなく、そんな生者の方が恐ろしいとさえ思うほどでした。
ゾンビ達の襲撃は、ただ人を喰らいたいというだけではなく、そんな理不尽さに対する報復のような印象を受けました。
思考能力も追いつかないけれど、考えようと、生きようと、精一杯に賢くなっていくゾンビ達。それも、本能や欲なのかもしれませんが、何より想いの強さというか、可能性にすら見えてくるほどでした。
もちろん、だからといって人もただ喰われてはいられませんから、そんな世界から脱出を図ろうという人間や、自分たちの世界を守ろうとする人間、ゾンビを一掃しようとする人間が出てきます。
もしかしたら、後にはゾンビと共存を図ろうという人間も出てくるのかもしれません。
生と死の共存。
「死にたくない」と言うことは、結局のところ、そんな世界を生み出してしまうのかもしれないと思いました。
生死に関しては、物心付く頃には誰しも考えたことがあり、特に「死」に関してはもっとも未知で、不思議で、かつ恐ろしく、不可解なものでありながら誰にも訪れる、もっとも身近なものでもあるのですよね。
ゾンビとは、「生」から生まれる「死」を象徴するものであると、この映画を見てとても感じました。


